痴漢
1 法定刑
六月以上十年以下の懲役(刑法176条:強制わいせつ罪)
六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料(刑法174条:公然わいせつ罪)
各都道府県の条例違反(迷惑防止条例違反)
2 どのような罪か?
一口に痴漢といっても行為の態様によって適用される法律が変わってきます。
背後から密着して身体や股間を執拗に押し付ける、手で下半身やふともも等を撫で回すなどの行為は、強制わいせつ罪や迷惑防止条例違反に該当します。具体的な行為態様にもよりますが、一般的に、下着の中に手を入れた場合が強制わいせつ罪で、入れなかった場合が、迷惑防止条例違反とされているようです。
また、公衆の面前で陰部等を露出する行為は公然わいせつ罪、「つきまとい」や「のぞき」はストーカー行為規制法違反や軽犯罪法違反、スカートなどの衣服を切り裂く行為は器物損壊罪に、該当します。
3 弁護方針
痴漢事件は、物的証拠が残りにくく、目撃者もいない場合が多いため、本来、無実である人が有罪判決を受けてしまう冤罪事件の可能性も高いです。
初犯の場合は、被害者と示談をすれば起訴前に釈放されることも多く、略式命令といって、簡単な手続きで罰金を支払って事件を終結させることも多いです。そのため、あってはならないことですが、本当は無実なのに、早期に社会復帰するため、虚偽の自白をして犯行を認めてしまうケースもあります。
冤罪を防ぐためには、できるだけ早く本人と面会して弁護士からの適確なアドバイスを受ける必要があります。いったん虚偽の自白をしてしまうと、覆すことは極めて困難であるため、早期の接触が大変重要です。
また、事実関係を認めている場合は、被害者と示談することで、できるだけ早く身柄が解放されることを目指します。
他方、性犯罪は、病的に繰り返しなされることも多いです。そのような場合は、カウンセリング等の受診もお勧めします。
強制性交等
1 法定刑
五年以上の有期懲役(刑法177条)
2 どのような罪か?
相手方が抵抗することができない程度の暴行、脅迫を用いて、相手方の意思に反して性交等を行う犯罪です。13歳未満の相手に対し性交等をした場合には、暴行・脅迫がなく、合意がある場合でも強制性交等罪が成立します。
強制性交等により相手方を怪我させた場合は、強制性交等致傷罪といって、裁判員裁判対象事件となります。
3 弁護方針
強制性交等罪は被害者との示談交渉が重要です。早期に示談が成立すれば、捜査機関の処分や裁判所の量刑判断において非常に有利です。もっとも、被害者の処罰感情が極めて強い犯罪であるため、弁償額は高額になる傾向があります。少なくとも100万円以上はかかることが多いです。
また、相手方の同意があった上での性交渉であると主張することもあります。強制性交等罪は目撃者がおらず客観的な物証も乏しいため、同意があったことを立証するのは容易ではありませんが、犯行現場の状況やこれまでの人間関係、犯行時刻前後の状況等を関係者から聞き出す等の活動をします。
また、相手方の同意があった上での性交渉であると主張することもあります。強罪は目撃者がおらず客観的な物証も乏しいため、同意があったことを立証するのは容易ではありませんが、犯行現場の状況やこれまでの人間関係、犯行時刻前後の状況等を関係者から聞き出す等の活動をします。
盗撮
1 法定刑
軽犯罪法違反
各都道府県の条例違反
ex) 愛知県迷惑防止条例 六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金
2 どのような罪か?
店内や路上、電車内などの公共の場所で盗撮行為を行った場合には、各都道府県の定める条例(いわゆる迷惑防止条例)違反となります。
個人の住宅内などの公共の場所以外の場所での盗撮行為は、軽犯罪法違反となります。
盗撮をするために無断で住宅に侵入した場合には住居侵入罪が、建物のトイレや浴場に侵入した場合には建造物侵入罪が成立する場合もあります。
3 弁護方針
被害者との示談の成否が重要です。
また、同種の行為を繰り返してしまうケースも多いため、過去に同種の前科が存在するかといった点も考慮されます。
そのため、被害者との示談交渉はもちろんのこと、本人が病的に盗撮行為に傾倒しているようであれば、専門家によるカウンセリングや依存症の治療をお勧めすることもあります。
公然わいせつ
1 法定刑
六ヶ月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料(刑法第174条)
2 どのような罪か?
公然とわいせつなことをした場合に罰せられるものです。
「公然」とは、不特定または多数の人が認識できる状態でという意味です。
「わいせつ」とは、「いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」と定義されますが、主に、全裸になるなど、性器露出をともなう場合や性交渉を人に見せる行為等が該当します。
社会の健全な性秩序や性風俗を保護するために規定された犯罪です。
有名な事件として、芸能人の草彅剛さんが逮捕された事件があります。 酒に酔って公園で全裸で騒いでいたところ、警察に逮捕されたというものです。もっとも、前科前歴もなく反省していること等から不起訴処分となっています。
3 弁護方針
本人の反省を促すとともに、再犯を防止するための環境整備等を行い、検察官や裁判官伝えていきます。不愉快な思いをした方に対し賠償するという方法もあります。病的なケースだと専門家によるカウンセリング等をお勧めする場合もあります。