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罪名別ご案内 3.薬物・麻薬事件

覚せい剤

1 法定刑

所持や使用の場合は、十年以下の懲役
営利目的の所持、使用は、一年以上の懲役
輸入や輸出の場合は、一年以上の懲役
営利目的の輸入や輸出は、無期若しくは三年以上の懲役

2 どのような罪か?

覚せい剤に関する犯罪は、その「使用」「所持」「輸入」「輸出」が罰せられます。
覚せい剤の乱用は、戦後の混乱期に始まり、昭和29年に検挙人員が5万人台を数え、最初のピークを迎え、いったん減少した後、再度増加し、昭和59年には約2万4000人となり、2番目のピークを迎えました。その後、若干の増加減少がありましたが、現在、総数としては、減少傾向にあり、検挙人員は、約12000人(平成22年)となっています。
もっとも、全薬物事件の中で、検挙人員の約7~8割を占め、薬物事件の中心的な犯罪となっています。
極めて依存性が強く、再犯を繰り返すという特徴があります。
関係者からの通報や、挙動不審者に対する職務質問や所持品検査等を契機に発覚することが多いです。
使用罪で起訴された場合、初犯の場合、執行猶予付有罪判決、2回目が実刑、3回目以降は刑期が徐々に長くなるという傾向があります。

3 弁護方針

薬物犯罪は、被害者がいないため、被害弁償をすることにより量刑を軽くすることは不可能です。
覚せい剤は、依存性が極めて強く再犯の恐れが高いことから、量刑を軽減するための活動としては、 再犯可能性がないことをいかにアピールしていくかがポイントとなります。
そのためには、本人の反省状況、親族等による監督、ダルク等の施設への入所、病院等での治療など、再犯の可能性がないことを訴えていくことが必要です。

使用罪については、使用量、使用回数、使用期間、使用方法等が重視されます。
所持罪については、その所持量が重視されます。また、量が多い場合などは、営利目的を疑われ、刑が重くなることがあります。その他、前科の有無、量や常習性、監督者の有無、組織での地位等が考慮要素となります。

また、覚せい剤等の捜索・押収、尿の採取手続き、身体拘束手続きをめぐって、捜査の違法性が問題になることもあります。そのような場合には、捜査機関に抗議するのはもちろんのこと、公判段階では、違法に収集された証拠の排除を求める等の活動をしていきます。

使用罪の場合、採尿手続きがとられ、尿中の覚せい剤成分が重要な証拠となります。その他、毛髪、唾液等により検査がなされることもあるようです。
事実関係を認め、情状等をアピールしたとしても、客観的な証拠がある場合に不起訴処分となることは極めて珍しいです。また、釈放すれば、証拠隠滅や再犯に及ぶ恐れがあるため、保釈が認められることも容易ではありません。もっとも、有利な情状を主張することで、保釈が認められる場合もありますので、粘り強く請求することが必要です。

大麻

1 法定刑

栽培、輸入、輸出の場合、7年以下の懲役
(営利の目的だと、10年以下の懲役)
所持の場合、5年以下の懲役
(営利の目的だと、7年以下の懲役)

2 どのような罪か?

乾燥大麻、大麻樹脂等の所持、栽培、輸出入が罰せられます。覚せい剤と異なり、「使用」については、明確に禁止する条文がありません。検挙者の約8割は「所持」によるものです。また、覚せい剤よりも、「栽培」「輸入」により処罰される割合が多いのもの特徴です。これは、覚せい剤のように組織的に製造、輸入される犯罪と違い、大麻は、若者が興味本位で外国から持ち帰ったり、自生大麻やインターネットを通じて入手した種子を自ら栽培することが多いためです。また、薬物犯罪の入り口ともなりやすく、初犯者や若年者が多いのも特徴です。

3 弁護方針

薬物犯罪は被害者がいないので、被害弁償をすることはできませんが、社会的意義のある各種団体に贖罪寄付をすることで反省していることを裁判官にアピールすることはできます。
また、大麻の捜索・押収手続等を巡って、違法捜査の疑いがあれば主張していくことになります。
依存の程度によっては、ダルクのような薬物依存者の自助グループを紹介したり、専門家による治療をお勧めすることがあります。そのような治療状況が有利な情状として評価される場合もあります。

脱法ドラッグ

1 法定刑

各種条例や薬事法による罰則があります。

2 どのような罪か?

近年、合法ドラッグ、脱法ハーブなどと言われる、酩酊作用のある薬物や植物の販売、使用が問題となっています。法規制を免れるために、観賞用として売られているものを、乱用者が吸引、摂取すると、幻覚、興奮、酩酊状態となり、禁止薬物を摂取したのと似たような効果があると言われています。
 「合法」というだけあって、十分な法規制が及んでいないのが現状ですが、東京都においては、平成17年に「東京都薬物の濫用防止に関する条例」を制定するなどして、規制対象を広げようとする試みがなされています。今後も、他の条例や薬事法等により、規制が広がる傾向にあります。

3 弁護方針

反省状況や、釈放後の環境整備等により再犯可能性がないことを検察官や裁判所に伝えていきます。また、常習性がある場合は、薬物依存者のためのリハビリ施設(ダルク等)や、専門家による治療を勧める場合もあります。

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