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遺産分割協議

遺産分割協議

遺言書が無い場合、又は遺言書はあってもそこに記載されていない相続財産がある場合には、相続人全員が相談して、誰が何を相続するかを決めていくことになります。その話し合いを「遺産分割協議」といいます。その話し合いの結果作成される書類を、遺産分割協議書といいます。

遺産分割協議の流れ

「父親が不動産を所有していました。不動産の登記簿には所有者が父親として登記されています。この父親が亡くなりました。この父親の相続人は妻と子供2人の合計3人です。」

父親がなくなった瞬間に、不動産は相続人3人の共有になります。つまり、3人により共同して所有されていることになります。不動産の登記簿上の所有者はまだ父親のままですが、法律の上では妻と子供2人の3人の相続人が共有していると考えます。
そして不動産に限らず、株券とか絵画とかパソコンとか机とか家具とか、父親が所有していた様々な財産が、父親が亡くなった瞬間に共有になります。

しかし、預金などの債権は共有ではなく、それぞれの相続分に従って各相続人が引き継ぎます。父親に1000万円の預金があれば、妻が500万円、子供二人が250万円ずつ受け継ぎます。相続人全員が合意すれば、誰がいくら受け継ぐかは話し合いによって変えることもできます。

共有になった相続財産は、相続人が何もしなければそのまま共有の状況が続きます。
何十年も前に亡くなった人の不動産が、名義もそのままで放置されていることもありますが、そのままですと後々不動産を売却したたりする場合には、そのままの名義では売却できず、面倒なことになります。
そこで、将来面倒なことにならないように「遺産分割協議」がなされます。
遺産分割協議ではそれまで共有だった相続財産を、相続人一人ずつの単独所有とするように話し合いをします。
遺産分割協議で「不動産は妻が相続する」と決まれば「不動産については3人の共有だったけれど、妻の単独所有にする」という意味です。

遺産分割協議が整うと、相続人の共有物であった財産が、相続人一人ひとりの所有物になり、個人の所有物として各人が思い通りの処分をする事がでるようになります。

遺産分割協議書

遺産分割協議書とは、遺産分割の結果を書面として残したものです。

遺産分割協議書には決まった書式はありません。
亡くなった父の不動産を妻が相続するのであれば「不動産は妻が相続する」と決めて、後々もめないように書面にして相続人が署名捺印をします。

遺産分割協議書の作成については、全員が一同に会する必要はありません。電話等で内容に納得してもらい、遺産分割協議を一通だけ作成して、郵送等で順送りに署名捺印することでもかまいません。

遺産分割協議書には各相続人の自書での署名・実印での捺印と印鑑証明の添付をするのが通常です。このようにすることで、不動産の登記名義の変更などがスムーズに進むためです。

被相続人の残した全財産について一通の遺産分割協議書にまとめることも多いのですが、一部の財産だけの遺産分割協議書でもその財産については有効です。
例えば不動産登記手続きのためには、その不動産だけの遺産分割協議書をつくることはよく行われています。

なお、相続人の中に未成年者がいる場合は、家庭裁判所で特別代理人の選任を受ける必要がある場合があります。
例えば父親の遺産を分割するときに、母親は未成年の子の代理人として遺産分割協議に参加することはできません。母親も子も父親の相続人です。実際にどうかはともかくとして、母親と子は遺産分割協議において利害が対立します。遺産を巡って争う関係といえるのです。そこで、未成年の子には利害関係のない代理人をつけることが必要です。この代理人が特別代理人です。

遺産分割協議でよくある問題

相続人の間に確執や対立があって、遺産分割の話し合いがまとまらない場合が考えられます。

例えば、相続財産が自宅の土地建物だけであれば、配偶者が相続するのが当然とも思えます。
しかし相続人が「配偶者と兄弟」であって、遺言書がなければ、兄弟全員と話し合いがついて兄弟とともに実印を捺印して印鑑証明を添付した遺産分割協議書を作成しなければ、自宅の土地建物の名義を配偶者にすることはできません。その兄弟が一人ならともかく、三人いたら三人と話をつけなければなりません。
スムーズに話し合いが進まなければ土地建物の名義変更はなかなかできないでしょう。
このような場合には家庭裁判所の調停などを利用することも考えるべきでしょう。

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