2 自分の土地が占拠されている
(1) 自分の所有している土地に、誰かが勝手に車を置いている、ごみを捨ていていくということに遭う方は多いでしょう。また、住所から離れている土地などで、長いこと現地を訪れていないというときに、他人が自分の所有する土地上に勝手に家を建てて居住しているということもありえます。
自分の土地上に他人が境界線を設定して、あたかも他人所有の土地のように使用されてしまっているという場合には、不法占拠の事例の一つでもありますが、『1 境界について争いがあるとき』に分類できるでしょう。
注意しなければいけないのは時効の問題です。法的根拠がなくても、一定期間土地を占拠(占有)していると、占拠していた人の所有権が認められることがあるからです。
(2) 日常的に私有地に勝手に自動車が停められているようなときには、弁護士が代理をして内容証明郵便を送付するなどして解決を図ることがあります。
使用しているのか不明な自動車が置きっぱなしになっている、というような場合には、登録情報を調べたりという手続きが必要になるため、専門家を依頼する必要性が高まるでしょう。
廃棄物が放置されているような場合には、あわせて損害賠償を請求することも考えられます。
(3) 自分の土地に勝手に家が建っているような場合、不動産は移動が困難であることや、不法占拠とはいえ居住権にも一定の配慮をしなければならないため、解決には一層困難が伴います。建物の使用状態や生活実態に応じて、バリエーションの多いケースです。
原則的には不法占拠者に建物を収去して土地を明け渡すことを請求することになりますが、土地所有者が建物の存在を認める方向での解決ということもあり得ます。たとえば、建物の存在を認めて、賃貸借契約を新たに結び、賃料収入を確保するという方法があります。