弁護士選びのリスクマネジメント

弁護士に依頼する前にお読みください

数ある弁護士情報の中からあえてアクセスしていただき、ありがとうございます。

以下は、弁護士荒川和美の私的見解ですが、自分さえよければという方には、読んでいただきたくありません。なぜなら、ここでは、自分のことより人のことを心配してしまう、人のよい庶民が、自分や他人の困ったことを弁護士に依頼しようという時に、失敗しないことを願って書いているからです。むしろ、人の不幸で利益を得ようという輩には、失敗してもらった方が世の中のためでしょうし、そういう輩に良心的弁護士を悪用されたくないという思いがあるからです。

すでに紹介などで弁護士の相談を予約している方へのご注意

知人から紹介を受けた、あるいは、弁護士会、法テラス、市役所などの相談窓口に電話したり出向たりして、紹介されたり、相談予約をした方の注意点です。

「お試し」という意識をもって相談をしましょう。そのうえで依頼を決めてください。紹介を受けて相談したからといって、断って一向にかまいません。自分に合わないなと思ったら遠慮なく紹介者にチェンジを申し出てください。あなたにとっては一生の一大事ですし、紹介した側としても、責任ある紹介をするために貴重な情報だからです。

具体的に申しますと、費用について明確でないというのは、論外のハズレです。次に、不必要なほど親切なのだけれど、話をよく聞いてくれないうちに裁判を奨めてくるとか、話し合い解決についてほとんど質問してこないとか、十分な資料もないのに断定的な結論ばかり言うとか、そういう弁護士は要注意です。事件は水ものであって、相手の出方も含めて証拠資料と併せて、多角的に検討が必要だからです。弁護士は争いになればなるほど収入になるので、話し合いで解決すべき場合でも裁判にしたがる傾向があります。特に最近は、主張と事情の区別ができないとか、立証責任の理解が不十分なため無用な混乱を招いている(無理な主張でもダメ元とばかりに平気で並べたてるなど)弁護士が増えています。裁判官がそう言っているのですから、まちがいないと思われます。そして、見込み違いの苦し紛れの主張ですから結局負けてしまい、依頼者は、お金と労力を無駄にしてしまいます。昔は、三百代言と言ってダメ弁護士の典型とされていました。そういう弁護士かもと思ったらチェンジした方が無難です。

弁護士選びは社会的リスクになった

21世紀は、弁護士が「どこにいるか分からない」から、多すぎて「誰を選んだらよいか分からない」時代にへ変わりつつあります。

かつて、司法試験合格者は、500名程度でしたが、現在は、1年間に2000名を超えています。新自由主義にもとづく構造改革・規制緩和のかけ声に乗っかった司法改革による弁護士大量増員時代の到来です。

ところで、人の役務(委任、委託、雇用)を商品として考えた場合、事前に比較して選択するのは難しいと思います。「お試し」という方法が難しいからです。リピートが少ない業種はなおさらです。誰でも活動できる前提で、市場での競争により淘汰しようとすると、質の低い者による実害が発生する可能性が高くなります。企業が、入社、登用、昇進などの試験を実施して、能力を評価しようとするのはこのためです。試験も一種の競争原理による淘汰なのです。世界的には、ドラッカー流の知識社会と言う認識を背景に、人の能力の評価をペーパー試験によるものに統一しようという動向が強まっています(OECDの成人学力調査など)。

司法試験合格者が少ない時代、試験の成績が1000番以前と以降では、明らかに論理力、文章力、知識に差があったと言われていました。油断すると誰が落ちるかわからない試験であったため、優秀な者も必死で勉強していましたから、必然的にレベルが上がります。合格後司法修習を2年経て、勤務弁護士を数年経て独立するのが一般的で、当時は、弁護士間や弁護士会によるOJT(研修)も行き届いていました。つまり、弁護士間の質に大きな差はなく、やるべき事をやらない弁護士には、弁護士会が苦情や懲戒などで対応すれば、弊害は少なかったのです。

 現在は、法科大学院の理念として、実務的素養を重視していますが、中途半端になっており、実務に耐え得るのか疑問のある者まで合格しており、全体の質が低下しているおそれがあります。司法修習は1年となり、弁護士会も大量増員に対応が追いつかず、新旧を問わず、喰うために何でもありの状況が生まれ、苦情や懲戒の大量発生という事態となっています。ついには、登録3年で業務上横領により逮捕という弁護士まで出現してしまいました。試験の合格水準を下げて増員し、市場での競争に任せるという司法改革は、原理的に間違っている疑いがあります。こうして弁護士だからというだけでは安心して任せられない(社会的リスク)時代なったと言って過言ではありません。

いずれにしろ、紛争を抱えた市民は、現実に増えた弁護士の中から選択を迫られます。どうやって選択したらよいのでしょう?

リスク回避の方法論(リスクマネイジメント)

リスクとは、リスクを取るという表現があるように、成功と危険を含んだ言葉です。ここでは、予想した結果と選択による結果とのぶれ(ハズレ=失敗というぶれ)と定義します。そして、マネイジメントとは、ハズレ=失敗が少ない選択方法と定義します。

ところで、弁護士のホームページを見ると、迅速、誠実、親切など美辞麗句が並んでいます。しかし、弁護士の実績、人柄、ポリシーは判らない場合が少なくありません。口コミに頼ろうとしても、何人もの弁護士を比較した経験者は少なく、単発の情報しかありません。漫然とホームページを見ているだけでは、リスクを回避にはなりません。

結論から言えば、よい弁護士と悪い弁護士について知識を得た上で、当たりハズレのリスクを回避する考え方に立ち、事件の性質と自分との相性による選択しか方法はないと思われます。

  • 1.よい弁護士の知識

    弁護士選びとか弁護士探しでネット検索すれば、ほとんど同じ内容の知識が得られます。出版物もあります。

    要約すると、わかりやすいく親切丁寧な説明、迅速確実な事務処理、明確で適正な費用の設定、正直あるいは誠実な人柄や態度に集約されます。これに欠ける選択がハズレです。

    これらが欠けていると表示する弁護士はいませんから、リスクマネイジメントとしては、どういう点に注目すれば、ハズレが少ない選択になるのかが重要です。注目点で除外した中には、実は「よい弁護士」がいるかもしれません。しかし、優柔不断がもっともいけません。確実にリスクを減らすには、割り切りも必要なのです。そして、この競争時代においては、弁護士は、リスクが少ない弁護士と見られるよう努力することも必要です。顧客の選択が業界を変えてゆくことになるのです。

  • 2.規模による選択

    単独個人事務所は、当たり外れのリスクが伴うことは避けられません。登録年数の短い弁護士は経験不足は否めないので、当然リスクはさらに高くなります。特に、新司法試験合格者(60期以降)で単独開業している弁護士は、上記事情から今のところリスクが高いと考えた方が無難でしょう。弁護士の老若問わず個人事務所を選択する場合には、信頼のできる情報源(知人、弁護士会、公共機関)に基づくべきでしょう。もともと弁護士は業務を通じて情報源を獲得して営業してきたのです。信頼されている有能な弁護士は必ずそういう情報源を持っているはずです。

    複数事務所であれば、担当替えも可能です(遠慮なく申し出るべきです)し、共同受任であれば、相互チェックの機能によりリスクが下がります。法曹人口が多く競争の激しい欧米では、大小多くのローファームが乱立していますが、多様なクライエントの要求に耐え得る質を確保するには、共同化せざるえないという面があるのです。大量増員による競争時代に入ってきた日本も同様になって行かざるを得ないでしょう。
    複数事務所といっても、登録年数が短い若手ばかりの事務所には経験不足のリスクがあります。複数弁護士事務所でも、あまりに巨大化していたり、システム化している事務所は、事務的扱いになりがちという面があります。
    現時点では、ベテラン、中堅、若手がバランスよく所属する中規模事務所がリスクが少ないと考えられます。なお、法曹経験は短くとも社会経験の豊富な弁護士は、中堅に匹敵すると見るべきです。何らかの決意のもとで転職してきたわけで、熱意と広い見識が伺えるからです。

    企業が、企業法務や顧客とのトラブルなどを弁護士を依頼する場合、特別の理由がない限り、複数事務所の選択が原則と考えます。日常的助言を求める場合や紛争頻度が高い場合には、個人では、広くかつ迅速に対応しきれない可能性が高いからです。また、支店や営業所を持ち、広い対応エリアの業種の場合には、支店を持つ弁護士法人が最も適しています。

  • 3.専門分野の有無による選択

    司法試験に合格し、修習を終えただけでは、ほとんど専門分野の知識も経験もありません。医師と同じで、実務経験で養ってゆくしかないのです。労災や交通事故では、技術的専門知識や保険の実務知識が必要、医療事故なら医学知識と証拠収集や鑑定の実務経験が必要です。

    訴訟手続に専門があるわけではありません(特許は除く)。過払請求も医療過誤も同じ手続きです。専門分野は妥協ができない事案が多く、それだけ技量が試されます。したがって、専門分野で実績のある弁護士は、一般事件でも能力が高いと考えられます。

    たとえば、債務整理や、消費者被害、自己破産、離婚や相続などよくある一般的な事件であれば、誰でもできそうです。しかし、込み入った事情があると5年程度の経験ではなかなか難しいこともよくあります。やはり、実績と経験豊富な中堅以上の弁護士が在籍する事務所がリスクが少ないと思われます。特に専門性を重視する場合は、専門分野の研究会に所属して活動しているか(名前だけはNG)は注目すべき点です。豊富な情報に基づいて、会員間の研鑽が充実していると考えられるからです。

  • 4.ポリシーや人柄による選択

    紛争解決には、依頼者との信頼関係が必要ですから、「相性」が重要になります。相性があわないのも、事件処理ではリスクとなります。法律用語や手続の解説は、ネット検索で大抵のことは分かりますから、事務所のポリシーや人柄が判る記述に注目すべきです。

    その場合、プロフィールを参考にするとよいでしょうが、写真などのイメージや華々しい経歴・学歴に過度に頼らないでください。たとえは悪いですが、詐欺師は見た目にはよく見えるから詐欺師なのです。むしろ、何らかのごだわりが伺えるタイプや地道な実績を積み上げてきた苦労人タイプがお勧めです。ポリシーは実績の裏付けが必要ですし、実績はごまかし難いことから、リスクが少ないと考えられるからです。

    一つの視点として、社会問題に対する見方や活動に注目すべきです。社会活動やボランティア活動をしている弁護士が、自己中心的であったり、思いやりのない人物とは考えにくいでしょう。弁護士会活動、様々な人権団体やボランティア団体の活動、社会的意見の発信などは、動機において利他的であり、多くの関係者から能力と人柄が信頼されているからこそ活動が成り立つからです。事務所の特色・カラーとしてもこの点は注目すべき点です。そういう人材が集まり、育成しようとしていると考えられるからです。

最後にひとこと

一億総中流と言われた時代に、ビジネスローヤーなどと言って、経済活動中心の弁護士をもてはやし、他方で「人権派」というと何か言いがかり集団かのような空気がマスコミで喧伝されたりしました。但し、人権派にはサービス業としての意識が低かったという面はあるかもしれません。

貧困が拡大する弱肉強食の格差社会となりつつある今、庶民にとって、強者側に立ち「人権は飯の種にならない」と言ってきた弁護士と、弱者側に立ち「人のために役立ちたい」という弁護士と、どちらが選択のリスクが少ないと考えるべきでしょう。

これまで、弁護士が市民から社会的信頼を得てきたのは、弁護士法第1条にある基本的人権の擁護と社会正義の実現という使命を実践してきたからではないでしょうか。これには、異論があることは承知していますが、庶民から見ればその実践は何ら不利益なことではなく、その異論は、人権を侵害する権力をもつ者や富める特権階級を利するプロパガンダだと思います。

弁護士の選択がリスクになった現在、今市民の側から、この原点に立ち戻って、弁護士を選択すべきなのではないでしょうか。東日本大震災を受けて、ますますその思いが強まっています。

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