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労災(労働災害)

労災とは

労災とは、労働者の業務上又は通勤による負傷、疾病、障害又は死亡のことをいいます。
なお、通勤によるもの(通勤中の交通事故による負傷等)は厳密には労働問題とはいえないかもしれませんが、形式上、労災に含まれますので、これも併せてご説明します。

労災保険とは

労災については、使用者・加害者の民事上の責任を根拠として、使用者・加害者に対して損害賠償請求をすることもできますが、労働者保護の観点から、そのような手続きを経なくても迅速に補償が受けられるようにする制度(労災保険)が設けられています。
労災保険とは、労働者災害補償保険法に基づく制度で、業務災害又は通勤災害により、労働者が負傷した場合、疾病にかかった場合、障害が残った場合、死亡した場合等について、被災労働者又はその遺族に対し、所定の保険給付を行う制度です。労働者を使用する事業は原則として労災保険の適用を受け、事業主が労災保険料を支払っていなくても、被災労働者は保険給付を受けられます。

業務災害の判断要素

労災保険給付の対象となる業務災害に当たるかどうかは、次の2つの要素によって判断されます。
①労働者が労働契約に基づき事業主の支配下にあること(業務遂行性)
②事業主の支配下にあることに伴う危険が現実化したものと経験則上認められること(業務起因性)
たとえば、仕事中に同僚と喧嘩をして負傷した場合には、私的な逸脱行為によるものですから、業務遂行性は認められません。また、仕事中に自然災害(地震など)が起きて負傷した場合には、その業務の遂行によって自然災害に遭うリスク(危険)が高まるといえる場合でない限り、原則として業務起因性は認められません。

通勤災害の判断要素

労災保険給付の対象となる通勤災害に当たるためには、その移動が「通勤」に当たる必要があります。そして、「通勤」とは、労働者が、就業に関し、住居と就業の場所との間の往復などの移動(複数ある就業場所の間の移動や、単身赴任者が赴任先のアパート等から自宅に帰る際の移動などを含む)を、合理的な経路及び方法により行うことをいいます(労災保7条2項)。たとえば、帰宅途中に長時間飲酒するなど、往復経路からの逸脱や往復の中断があった場合には、それ以降は「通勤」と認められません(中央労基署長事件・東京高裁判決平成20年6月25日)。
また、その災害が、通勤に通常伴う危険が現実化したものであることも必要です。たとえば、通勤中に殺害されたとしても、通勤がたまたま犯行の機会として選ばれたに過ぎない場合は通勤災害に当たりません(大阪南労基署長事件・大阪高裁判決平成12年6月28日)。

労災への対応策

1 労災保険給付の申請

労災に遭った場合、傷病の快復を第一に考え、まずは治療に専念しましょう。病院を受診した際に、健康保険ではなく、労災保険を使うことを申し出てください。なお、労災指定病院を受診すれば、その病院が直接、労働基準監督署に医療費を請求しますので、病院の窓口で医療費を支払う必要はありません。

2 証拠の収集

労災事件では、事故の発生状況や事故発生時の勤務実態を把握することが非常に重要です。事故現場の写真、同僚や目撃者の証言、医師の診断書など、事故に関する証拠を収集しておくことが大切です。

3 民事上の損害賠償請求

労災保険は、使用者・加害者に故意・過失がなくても、業務上又は通勤による被災であれば給付が認められますが、使用者・加害者の民事上の損害賠償責任は、使用者・加害者に故意・過失がなければ認められません。つまり、使用者・加害者に故意・過失があれば、使用者・加害者に対する損害賠償請求ができることになります。
賠償の対象となる損害としては、治療費などの積極損害、休業損害・逸失利益などの消極損害、精神的損害(慰謝料)などがありますが、労災保険によって既に補償を受けた部分については損害額から差し引くことになります(労基法84条、労災保12条の4第1項)。
なお、労災保険では、慰謝料に相当する給付がなく、休業補償給付が平均賃金の6割までに限定されているなど、給付の対象や金額に限度があります。したがって、労災保険給付の限度を超える損害の賠償を求める場合には、民事上の損害賠償請求をすることになります。

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